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『天国の門』

男は愛犬を連れて長旅に出ていた。


しかし砂漠の真ん中で心臓発作に襲われ、

男はそのまま死んでしまった。




         *


再び目覚めたのは暗闇。


そばで愛犬が見つめていた。

男はちゃんと気づいていた。

自分が死んだこと。

そして死んだ自分に何日も寄り添って、

愛犬が息を引き取ったことを。



犬と一緒に暗闇を歩き出すと、

やがて、まばゆい光の門が、目の前に現れた。


奥には金銀に輝く、巨大な城が見える。



男は門番に尋ねた。


「すみません、ここは何処なんですか?

この門はいったい?」


門番は厳かに答えた。


「ここは天国です。」




「おお、ここが天国!


感激だ!!

僕は天国に導かれたのか。

ところで、のどが乾いてしょうがないんですが、

水を1杯いただけますか。」


男は待ちきれず、そうたずねた。



門番は言った。

「どうぞ、どうぞ。

城の中によく冷えたミネラルウォーターがあります。


ごちそうも、食べたいだけ食べて頂いて結構です。」




「さすが天国! ありがとうございます!」




男が愛犬を連れて入ろうとすると、

門番は急に態度を変えた。


「ちょっと待った!

ペットはここより中には入れません!!」


門番は大きく手を広げ、男を制止した。




「え...!」




男は立ち止まり、愛犬を見た。

愛犬はいつもと変わらず、無垢な目で男を見ていた。

男は、愛犬を置いて

自分だけが天国の門を入るのをためらった。






しばらく悩んだが、

自分に寄り添って死んでくれた愛犬を、

孤独な夜に温もりを与えてくれた親友とも言うべきこの愛犬を、

門の外に置いていくわけにはいかない。




結局、男は門に入らず、犬とともに、光の門を後にした。







再び暗闇を歩いていると、

今度は古ぼけてガタガタの、木で出来た小さな門が見えた。



そばに門番だろうか、本を読んでる人がいる。





「すみませんが、水を1杯いただけますか?」



門番らしき男は、本から顔を上げ、微笑みながらこう言った。



「中に手押しポンプがあるから、それで飲むといいよ。」



男は続けて、少しためらいながら、こうたずねた。




「それであのう...。

犬を連れて入ってもいいでしょうか?」




門番は笑顔で答えた。



「もちろん!」






「ありがとう!」





男は犬といっしょに門を入り、

ポンプで水をくみ上げて、犬と一緒に心ゆくまで水を飲んだ。





「水をどうもありがとう。

ところで、ここはどこなんですか?」






門番らしき男は、微笑んで言った。






「天国だよ」






「え! 天国?! 

でも、この向こうの、光の門の中が天国だと...」




男は、戸惑いを隠せなかった。


門番らしき男は、微笑を絶やさずにこう続けた。




「ああ、あれは地獄だよ」





「え! 地獄が勝手に天国を名乗ってるんですか?


怒らなくてもいいんですか?」




門番らしい男は、ゆっくりと答えた。





「いっこうにかまわんさ。 


おかげで、親友を置いていくような人間かどうかを、

見分けられるんだから」



(「アメリカンジョーク」より)

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2010/06/14 17:07 | 未分類COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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